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片方だけの言い分を聞いて判決してはいけない。原告と被告の両方の言い分を聞いて、公平に判定を下さねばならないということ。
『どうだい、男らしくいうつもりかい』
こう、念を押しますと、繃帯で首の動かせないその若者は、傷ついた喉から、呻くような声を出して、
『男らしく申します。申します』と答えました。が、たいていの被告は、こう答えておきながら、嘘をつくものです。
『女の名前は何というのだい?』
『錦木といいます』
『いつ頃から、通っているのじゃ』
『十月の初めからです』
『じゃ一月にならないのだな。今までに何遍通った』
『今度で六回目です』
『一度いくらずつ金がかかるのじゃ』
『へえ!』若者は、ちょっといい澱んだが、痛そうに唾を呑み込んでから『六円から十円ぐらいまでかかります』
『お前は工場でいくら貰っているのじゃ』
『日に一円五十銭ぐらい、貰うとります』
『うむ、それでその中から食費だとか風呂代だとか引くと月に何程ぐらい残るんじゃ』
『へえ、十円ぐらい残ります』
『そうか、十円ぐらいしか残らんで、それで月に六遍も遊んで、一度に六、七円ずつも使うと金が足らなくなるわけだな』
『へえい』
『じゃ、何か別な所で金の工面をしたわけだな』
『へえい』
『誰かから、金の工面をしてもろうたわけだな』
『へえい! 友達から二十円ばかり借りました』
『そのほかにないか』
『親から十円借りました』
『うむ。合して三十円だな。そのくらいの借金なら、払えないという借金じゃないな』
『へえい』
『一体、どうしてこんなことをやった』
若者は、しばらく考え込んでいたようでしたが、急に咳き込んで来たかと思うと、泡のような血を口から吐き出しました。気管の傷のために、血が口の中に洩れるのです。
僕は、自分の尋問が、この青年の容体を険悪にしはしないかと思ったので、警察医にききますと、彼は平気な顔をして、
『何! 大丈夫です。どんなことをしたって、命に別条はありません。御心配なくお続け下さい』といいました。 貴君が、小説家として
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