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片方だけの言い分を聞いて判決してはいけない。原告と被告の両方の言い分を聞いて、公平に判定を下さねばならないということ。
「いや、木下から預つた軸物が急に心配になつてね。これから行つて、届けてやらうと思ふのだ。向うでは、あゝした高価なものだとは思はずに、預けたのだらうから。」父の答へは、何だか曖昧だつた。
「それなら、直ぐ手紙でもお出しになつて、取りに参るやうに申したら、如何でございませう。別に御自身でお出かけにならなくても。」瑠璃子は、妙に父の行動が不安だつた。
「いや、一寸行つて来よう。殊に此家は、何時差押へになるかも知れないのだから。預つて置いて差押へられたりすると、面倒だから。」父は声低く、弁解するやうに云つた。さう云へば、父が直ぐ返しに行かうと云ふのにも、訳がないことはなかつた。
が、父が車に乗つて、その軸物の箱を肩に靠せながら、何処ともなく出て行く後姿を見た時、瑠璃子の心の中の妙な不安は極点に達してゐた。
父は十分もの間
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