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片方だけの言い分を聞いて判決してはいけない。原告と被告の両方の言い分を聞いて、公平に判定を下さねばならないということ。
若い専務は突然笑ひだし、
「戯談でせう、君、苟くも今日社会に生きてゐる以上、物の表裏といふものが一通りわからんでどうなります。社長のお眼鏡に適つた君の言葉としては、少々受け取り兼ねますね。だが、君、この土地の商売といふやつはですよ、それほどインチキは成立たんのだ。現に素人にでもひと目でその価値が判断できる。要するに、宣伝は解説だ。なにが故に優れた土地であり、なにがゆゑに有利な条件であるかを的確に知らせるにある。土地の所有慾はだ、これは君、大衆の本能ですよ。そこにはむろん、彼等の夢と現実のギヤツプがある。彼等の夢に翼を与へ、彼等の現実に可能の尺度を与へるのが、あなたがたの仕事だ。わかりましたか。むつかしく考へることはない。そこで、君にひとつ伺ひたいことがあるのだが……」
年はまだやつと四十を越えたばかりであらう、真黒なごわごわした髪の毛を無理にチツクで寝かせつけた頭が、ビルデイングの窓に射し込む夕日に光つてゐた。額のせまい、頤の張つた自分の手腕と精力を信じきつてゐるといふ眼つきである。
彼女はその視線を今はもう楽に受け流してゐた。
「これは社長から僕へのご相談なんだが、君がご存じだといふあの「泰平郷」ね、上州の……あそこにある立花さんの別荘のことですがね。社長があれをひとつ会社で買はんかと云はれるんだ。立花さんが亡くなられたら、まあ、立花家では不用といふことになるらしい。……そこで、安くこれを会社が手に入れてだ、あれをなにかに利用したらどうだと、かういふわけなんですがね。君はよく内部の様子をご存じだらう?」
「はあ、存じてはをりますけれども、……」
「こゝに図面はあるんだが……どうもこのまゝぢやホテルにもならんし、将来クラブかなんかにするにしても、大改造を要するんでね。君、なにか名案はありませんか?」
彼女の出かたが
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