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片方だけの言い分を聞いて判決してはいけない。原告と被告の両方の言い分を聞いて、公平に判定を下さねばならないということ。
彼の声は殆ど怒りにふるへてゐた。
「あなたのその理窟は、女を女だからつてお責めになるやうなもんだわ」
と、素子は、空を見つめながらしんみり云つた――
「だつて、さうでせう、あたくしをどういふ風にみて、それだけの月給を出す気になつたか、それは向うの勝手ですもの。自分で自分をすこし例外扱ひにしてるのは、しかし、そんな意味ぢやないの。そこをほんとにわかつていただきたいわ。あたくしは別に何かしなれや食べていけないわけぢやないし、営利会社なんかへ勤めるのは、どつちかつて云へば気が進まないのよ。たゞ、うんといゝ条件なら、そこで何かしら埋め合せがつくみたいに考へたの。鑑賞料だとかなんだとか、あなたがそれを汚れたものゝやうにおとりになるのは、をかしいわ、商売人がそんな余計なお金払ふもんですか」
「だから、なほ、あなたは身動きができなくなるんだ」
幾島は、さう云つてふと、自分の言葉の激しさに気がついたやうに、
「僕は、しかし、こんなことを公然云ふ資格ないかも知れないな。さうだとしたら、ごめんなさい。僕のこの気持は、少しばかり義憤つていふやうなものだと思つてください」
それが聞えたのか聞えないのか、素子は、さらに言葉をついだ――
「あたくしがちつとばかり例外だつていふ、もうひとつの理由はね……云つもいゝ?――つまりかうしていつまでも結婚もしないでぶらぶらしてゐることにも関係があるらしいの。だから、異性との問題に限つてるんだけれど、あたくし、とつても慾張りなのね。このへんつていふ諦めがどうしてもつかないのよ。抵抗力つていふのか知ら……自分でもさういふ抵抗力みたいなものに、驚いてるくらゐなんですもの、実は……」
「さういふ自信、ありがたくないな」
幾島は、吐きだすやうに云つて、ハンケチで額を拭いた。
彼女の出かたが
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